薔薇戦争の相関図を作成しました。
フランスとイングランドの王位継承権の争いである百年戦争が終わって、たった2年で今度は国内で親戚同士のランカスター家とヨーク家で王位を争った戦争が起きました。ランカスター家派は❤️赤薔薇の徽章❤️を、ヨーク家派は🤍白薔薇の徽章🤍をつけて戦ったので、薔薇戦争といいます。
■目次
■人物紹介
【プランタジネット朝】
イングランドの王朝。ノルマン朝断絶後フランスの貴族アンジュー伯アンリがヘンリー2世として即位し創設。リチャード2世廃位によって断絶した。
エドワード3世
百年戦争の原因となったプランタジネッタ朝の王。息子たちに公爵位を与えた。これが薔薇戦争の原因になる。
エドワード黒太子
若くして亡くなった百年戦争の英雄
リチャード2世
エドワード黒太子の忘れ形見、プランタジネット朝最後の王。平和主義者なのに百年戦争や農民一揆などに翻弄された。国民からの人気はなかった。さらに専制政治を始めたところ諸侯に脅威と見なされ、廃位させられた。
【ランカスター家】赤薔薇❤️
プランタジネッタ朝の傍系。1399年〜1461年の間と1470年〜1471年までの間イングランドを統治した王家。
ヘンリー4世
ランカスター朝最初の王。貴族を味方につけて、プランタジネット朝本家のリチャード2世から王位を奪う形で即位したので、継承の正当性が危うかった。シェイクスピアの題材にもなった。
ヘンリー5世
休戦していた百年戦争を再開し、フランス国内のイングランド領を広げた。シャルル6世を何度も打ち破った。トロワ条約によって、その娘を嫁にもらい、イングランド王がフランス王を兼ねられるように取り計らう。妻の兄弟であるシャルル7世とも激しく対立した。国民からも貴族からも尊敬された王でシェイクスピアも最も有能な王と称えた。
キャサリン・オブ・ヴァロワ🇫🇷
狂気のフランス王シャルル6世とヤバイ王妃イザボーの娘、イングランド王ヘンリー5世の王妃、ヘンリー6世の母、ヘンリー7世の祖母、すなわちエリザベス1世の高祖母と素晴らしい血統。生まれた頃に父は狂気に陥り、母は浮気放蕩三昧で酷い環境で育った。敵国王の元へ嫁ぐも、夫は優しかったが、結婚後たった2年で病死してしまった。権力の関係で新王の母が再婚しないように幽閉されたが、使用人のオーウェン・テューダーと大恋愛の末再婚するも枢密院に捉えられてしまった。
ヘンリー6世
イングランド王ヘンリー5世とキャサリン・オブ・ヴァロワの子。狂気のフランス王シャルル6世の孫。フランスとイングランドの王位を引き継ぐ。ジャンヌダルクの活躍によりシャルル7世にフランス王位を奪われる。(※摂政のヘンリー枢機卿がジャンヌダルクを火刑)本人は心優しい王様で母が自分を置いて駆け落ちしてしまうも、捉えた母の後夫や異父兄弟を保護した。心の優しさのゆえなのか、狂気王の祖父の遺伝なのか、百年戦争敗戦の責任感からなのか精神崩壊をしてしまう。これを機にヨーク公リチャードが実権を握るもヘンリー6世が正気を取り戻しヨーク家を宮殿から追い出すも、ヨーク公は挙兵し薔薇戦争が始まった。
マーガレット・オブ・アンジュー(ヘンリー6世妃)🇫🇷
ヘンリー6世の妃、ナポリ王の娘、シャルル7世妃の姪。百年戦争の休戦協定の際に政略結婚としてヘンリー6世に嫁ぐ(シャルル7世に娘がないため親戚のマーガレットが選ばれた)ヘンリー6世を尻に敷きつつ王太子エドワードを産むが、ヘンリー6世は精神崩壊してしまったので、マーガレットが自らランカスター軍を率いてヨーク公リチャードを打ち取り、晒し首にし紙の王冠を被せた。最終的にはヨーク公リチャードの息子のエドワード4世の登場により形勢は逆転、夫も息子も殺されてしまいマーガレットは幽閉生活となった。
エドワード王太子
ヘンリー6世とマーガレットの子、史上唯一戦死した王太子。
【ヨーク家】白薔薇🤍
プランタジネッタ朝の傍系。1461年〜1485年の間イングランドを統治した王家
エドマンド
ヨーク家の祖。エドワード3世の息子。
リチャード・オブ・コニスバラ
エドマンドの子。ヘンリー5世に対する反逆罪で処刑された。
リチャード・プランタジネット(ヨーク公リチャード)
リチャード・オブ・コニスバラの子。父母両系のイングランド王家の血統であり、フランス王家やカスティーリャ王家の血も引いている。ヘンリー6世に対する反乱軍から支持されて挙兵、マーガレットに討ち取られる。
エドワード4世
ヨーク家出身の最初の王。ヨーク公リチャードの長男。父の無念を晴らすべくヘンリー6世を廃位させた。キングメーカーリチャード・ネヴィル(ウォリック伯)に推されていたが、勝手にエリザベス・ウッドウィルと結婚しちゃたので、これまでサポートしてくれていたウォリック伯がランカスター家と組んで反乱を起こし、一時期ヘンリー6世が復位するが、反撃に成功して王位を取り返した。若くして急死した。
リチャード3世
ヨーク公リチャードの次男、エドワード4世・クラレンス公ジョージの弟。兄の崩御によりその子エドワード5世が継承したが、叔父として摂政になるも幼い王とその弟を「守るため」という名目でロンドン塔へ幽閉し、エドワード4世とエリザベス・ウッドウィルの婚姻無効の決議をあげる。エドワード5世の継承権を否定し廃位してしまった。幼い甥から王位を奪ったというイメージの悪さから人気がなかった。シェイクスピアからもボロクソに描かれている。ヘンリーテューダーに倒されてヨーク朝は終焉する。
クラレンス公ジョージ
ヨーク公リチャードの次男、エドワード4世・リチャード3世の兄。兄エドワード4世の王位継承時に協力したことでクラレンス公のに叙せられた。キングメーカーリチャード・ネヴィル(ウォリック伯)の娘・イザベルと結婚し兄の王位を脅かす。弟リチャード3世もイザベルの妹・アンと結婚したので、舅の遺産相続争いに発展し、敗れるとロンドン塔へ送られた。
エリザベス(エドワード4世妃)
ランカスター派の騎士ジョン・グレイの未亡人だったが、エドワード4世と再婚する。愛人にされそうだったところを求愛を拒み続け結婚に仕向けた(アンブーリン方式)夫はすぐに崩御し、息子は幽閉された。娘と生き延びるも、娘の夫ヘンリー7世に王位を脅かすとみなされて修道院に送られた。
エリザベス・オブ・ヨーク
エドワード4世の王女、ヘンリー7世の王妃、ヘンリー8世の母、エリザベス1世の祖母。娘を通じてスチュアート朝の先祖になる。父王崩御後、叔父の陰謀で庶子にされ、弟たちは行方不明になる。ランカスター派のヘンリー7世と結婚し、ヘンリー7世の王位継承権に箔を付ける。政略結婚だったが夫婦仲は良かった。
エドワード5世
エドワード4世の長男。叔父によって戴冠式挙行前にロンドン塔へ幽閉され、退位させられた。その後行方不明。名画「ロンドン塔の王子たち」で不安そうにしている兄
リチャード(弟王子)
エドワード4世の次男。こちらも継承権があるので兄と一緒に幽閉の上失踪扱い
【テューダー家】
ランカスター朝からつながる家系。薔薇戦争に勝利し、リチャード3世を倒して王位を得た。
オウエン・テューダー
ウェールズのイケメン没落貴族。イングランドの宮廷で幽閉されたキャサリン・オブ・ヴァロワの使用人だったが、大恋愛の上駆け落ち。逃亡先で捕まるも、ヘンリー6世に恩赦され、ランカスター家に忠誠を誓うも、モーティマークロスの戦いで敗れ処刑された。
ジャスパー・テューダー
オウエンとキャサリンの子、ヘンリー6世の異父兄弟、ヘンリー7世の叔父。
エドマンド・テューダー
オウエンとキャサリンの子、ヘンリー6世の異父兄弟、ヘンリー7世の父だが、生まれる前にヨーク派に捉えられ伝染病で亡くなった。
マーガレット(サマセット家)
ランカスター派の貴族・ボーフォート家の娘
ヘンリー7世
王の息子ではないが、ランカスターの系統。ヘンリー8世の父、エリザベス1世の祖父。リチャード3世をボズワーズの戦いで倒し、薔薇戦争を終結させた。ランカスターの子孫である自身とヨーク家の妻エリザベスの婚姻は両家和解の象徴。
【ネヴィル家】
リチャード・ネヴィル(ウォリック伯)
キングメーカーの異名を持つ大貴族。薔薇戦争のキーパーソン。最初はヨーク家の親戚にして家臣であり、ヨーク公リチャード亡き後に残された遺児の親代わりでもあった。その手腕でエドワード4世を国王にした。後ろ盾を求めてフランス王家との政略結婚話を進めていたのに、エドワード4世が敵のランカスター派のエリザベス・ウッドウィルと秘密結婚していたことが判明し、仲介役を務めていたネヴィルの立場がなくなり、エリザベスの親族ばかりを優遇するエドワード4世に不満をもつ。王弟のジョージと組み反乱を起こす。この反乱で王を幽閉することに成功するも反逆者として逃げることになるが、元々敵であったランカスター派のマーガレットと組み、ヘンリー6世を復位させる。今度はジョージに裏切られて敗死した。
セシリー・ネヴィル
ウォリック伯の叔母でヨーク公リチャードの妃、エドワード4世やリチャード3世の母。
イザベラ・ネヴィル
ウォリック伯の娘。政略結婚でジョージと結婚する
アン・ネヴィル
ウォリック伯の娘。方向転換した父の政略によりヘンリー6世の王太子エドワードと結婚するも、リチャード3世と再婚。シェイクスピアの「リチャード3世」では酷い夫にいじめられたかわいそうな王妃様。
■年表
❤️赤薔薇:ランカスター家
🤍白薔薇:ヨーク家
1455年 第一次セントオールバンズの戦い【🤍↑vs❤️↓】
🤍ヨーク公が国政掌握、❤️ヘンリー6世は精神異常状態で捉えられる
1456年 ヘンリー6世回復、親政復帰(❤️王妃マーガレットがヨーク公と対立)
1460年 ウェークフィールドの戦い【↑❤️vs🤍↓】🤍ヨーク公リチャード敗れて晒し首)
1461年 モーティマーズ・クロスの戦い【🤍↑vs❤️↓】
(後の🤍エドワード4世がランカスター派を破り、オーウェン・テューダー処刑)
第二次セントオールバンズの戦い
🤍エドワード4世即位
タウトンの戦い【🤍↑vs❤️↓】
1462年 バンバラ包囲
1464年 ベッジリームーアの戦い
ヘクサムの戦い【🤍↑vs❤️↓】
エドワード4世、エリザベス・ウッドヴィルと結婚(ウォリック伯激おこ)
1465年 ❤️ヘンリー6世、捉えられてロンドン塔へ
1469年 🤍ウォリック伯の上の娘と🤍クラレンス公ジョージの政略結婚
エッジコートの戦い
1470年 アンジューの合意(❤️ヘンリー6世復位→🤍エドワード4世亡命)
1471年 ❤️ヘンリー6世、再度幽閉されロンドン塔で死亡
1472年 🤍後のリチャード3世とウォリック伯の下の娘の政略結婚
(ウォリック伯戦死)
1478年 🤍クラレンス公ジョージロンドン塔で死亡
1483年 🤍エドワード3世崩御、エドワード5世叔父によって幽閉、リチャード3世即位
1485年 ボズワーズの戦い【❤️ヘンリー7世 ↑vs🤍リチャード3世 ↓】
■参考資料(ドラマ)
■ホロウ・クラウン 嘆きの王冠
薔薇戦争の流れを追うにはわかりやすい内容
■ホワイト・クイーン 白薔薇の女王
エドワード4世の王妃エリザベス・ウッドヴィル、その娘のエリザベス・オブ・ヨーク、ヘンリー・テューダーの母マーガレット・ボーフォート、リチャード3世の王妃アン・ネヴィルなどの女性を中心に薔薇戦争を描いた作品
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