イングランドのテューダー王家の相関図を作成しました。
偉人エリザベス1世のご家族ですが、とんでもなくドロドロしております。結婚に希望がモテなくなるのも無理はないですね。参考資料は【映画】「ブーリン家の姉妹」「エリザベス」「エリザベス・ゴールデンエイジ」【書籍】「中野京子著・名画で読み解く イギリス王家12の物語」
■目次
■人物紹介
【1】ヘンリー7世
イギリス王家が薔薇戦争で対立していたが、ヘンリー7世により相派の統合として、テューダー朝が開かれる。そんな立派な王なのに、嫁の持参金返却をしぶったり、ケチな面が目立つ。
【2】ヘンリー8世
ヘンリー7世の後を継ぐが、創立間もないテューダー朝の「後継は強い男子であるべきだ」という信念のもと男児を求めるがなかなか生まれない&早世してしまう。その原因はヘンリー8世が若い頃フランスで遊んでいた時にうつされた梅毒であったとも言われている。男児を産めない王妃は良くて離婚、悪くて処刑。モラハラを超えるヤバい夫。最初の結婚はキャサリン・オブ・アラゴン、結婚当初は仲睦まじかったが、男児を産めなかったので愛想を尽かし、その侍女のアン・ブーリンと再婚するために、妻を追放した。アン・ブーリンも男児を産めなかったので、その侍女のジェーン・シーモアと再婚するために処刑(王女でなかったので殺せた)、ジェーン・シーモアは男児を産んでくれるが、産後の肥立ちが悪く亡くなったので処刑されていない。お見合い絵画で気に入ったアン・オブ・グレーブスに実際に会ったら気に入らなかったので早めに婚約無効(素直に応じたので処刑していない)、アン・オブ・グレーヴスの侍女のキャサリン・ハワードとは一方的な恋愛結婚を果たすが、不倫されて処刑。最後の再婚相手、キャサリン・パーには介護してもらい、幸せに崩御。因果応報という言葉とは無縁。
マーガレット・テューダー
ヘンリー8世の姉。スコットランド王ジェームズ4世妃、メアリー・スチュアートの祖母であり、メアリー・スチュアートの夫ヘンリーの祖母でもある。
アーサー・テューダー
キャサリン・オブ・アラゴン
スペイン王女、姉は狂女フアナ。甥にスペインハプスブルク家のカール5世。莫大な持参金と共に王太子アーサー・テューダーに嫁いだが、すぐに未亡人になってしまう。持参金返却を渋った舅ヘンリー7世の提案で弟のヘンリー8世と再婚。結婚当初は素敵な旦那様だったが、男子至上主義のヘンリーに愛想を尽かされ、追放されてしまう。国民からも愛された王妃様。追放後は娘のメアリーとも会えなくされてしまい、失意の中で孤独に亡くなる。
メアリー・テューダー
ヘンリー8世の妹。兄の政略によって老いたフランス王・ルイ12世に嫁ぐ羽目になる。ルイ12世崩御後、本当に好きだった初代サフォーク公チャールズ・ブランドンと再婚。その娘の娘(孫)が9日間の女王・ジェーン・グレイ。
アン・ブーリン
有力貴族の娘でキャサリン・オブ・アラゴンの侍女であったが、王に気に入られ。愛妾にされそうになるが、「王妃にしてくれないなら受け入れません作戦」で見事に王妃様を追い出し、自らその座に収まる。アン・ブーリンと再婚するために、ヘンリー8世はカトリックから離脱し、英国国教会を設立した。継子のメアリー1世のこともいじめて、実子のエリザベスの侍女にしようとした。まさに意地悪継母王妃様。国民や家臣から嫌われていた。結局男児を産めなかったので、不倫の罪をでっち上げられ、処刑された。1000日の王妃とも言われている。
ジェーン・シーモア
大人しく控えめな女性とされているが、有力貴族の娘でアン・ブーリンの侍女であったが、アンと同じ手腕を使い、アンを追い出して王妃の座に収まる。念願の男児・エドワード6世を出産するが、難産で生死の境を彷徨う。その際にヘンリー8世は「王子を助けろ!王妃の代わりはいくらでもいる」と言い放ったそう。その後産後の肥立ちが悪く亡くなってしまった。
アン・オブ・グレーヴス
外国貴族の娘。綺麗な肖像画で、王妃を亡くして婚活していたヘンリー8世にロックオンされてしまった。王妃たちへの酷い仕打ちから、再婚相手に名乗り出る貴族女性はなかなかいなかったが、経済的事情から名乗り出たよう。実際に会ってみたところで、変な変装をしたヘンリー8世にひいたその態度が気に入らなかったのか、肖像画詐欺だったのか理由は不明確だが、早めの婚姻無効を言い渡される。素直に応じたため、処刑も追放もされず「王の妹」の称号が与えられ、高額年金受給者として幸せに暮らしましたとさ。
キャサリン・ハワード
貴族の娘。(アン・ブーリンの親戚)アン・オブ・グレーヴスの侍女だったが、例のごとくヘンリー8世に見そめられてしまう。美人だったが奔放な性格だった。国王とはいえ、若くて美しいキャサリンには年老いた夫は不満で本当に不倫に走り、バレてしまったので、処刑された。今でもロンドン塔に幽霊として現れるらしい。
キャサリン・パー
ヘンリー8世最後の王妃。ヘンリーとの結婚前は2度の結婚をしているが、どちらも未亡人になっていた。本当は国王ヘンリーと再婚ではなく、恋人・トマス・シーモアと再婚したかったが、王に気に入られてしまい、王による嫌がらせでトマスは海外勤務にさせられ、泣く泣く王と再婚するハメになった。結婚生活というより介護生活を送った。継母としては素晴らしく、メアリー、エリザベス、親戚のジェーンもキャサリンに懐いた。ヘンリー8世崩御後、周囲の反対を押し切ってかつての恋人トマスと再婚、エリザベスも引き取ったが、トマスとエリザベスが怪しい関係になってしまい、心痛の中トマスの子を産むが、産褥熱で亡くなる。
【3】エドワード6世
ヘンリー8世待望の男児だが、病弱で即位後すぐに崩御してしまう。
【4】ジェーン・グレイ
ヘンリー8世の妹、メアリー・テューダーの再婚後の孫娘。王位継承順位はヘンリー8世の直系のメアリー→エリザベスにつづく第3位だったが、舅のジョン・ダドリーの策略により、メアリーとエリザベスは庶子に落とされたので、ジェーンが第一位とされ担ぎ上げられてしまう。メアリーの勢力に敗れ、処刑されてしまう。
【5】メアリー1世
英国王ヘンリー8世とスペイン王女であるキャサリン・オブ・アラゴンの間に生まれた良い血統を持つ幸せな王女様だったが、父の心変わりにより庶子にされ、継母にはいじめられ、実母とも引き離されてしまう不遇の少女時代をおくる。実母の葬式にも立ち会えず、亡くなったことさえ知らされなかった。心の支えは母の母国スペイン。気づいたら憎き継母アンブーリンの娘も同様に庶子に落とされていた。2番目の継母ジェーン・シーモアとの関係は良好だったらしい。また、最後の継母キャサリン・パーの働きかけにより王位継承権を復活させてもらった。弟王・エドワード6世の崩御により、ジェーン・グレイ勢力との対立、勝利をおさめ、メアリー1世として即位した。母を追放した憎き英国国教会(プロテスタント)の一般人も殺しまくるり、ブラッディーメアリー(血まみれメアリー)というあだ名がつく。イギリス生まれのトマトカクテル。散々な生い立ちに苦労していたので、婚期が遅れてしまった。憎きアンブーリンの娘に王位を渡したくないので、焦って婚活をする。結婚相手は大好きなスペインの従兄弟の息子にあたるフェリペ2世だったが、完全なる片思いで良いように使われてしまった。結局子供は生まれず、憎きエリザベスを後継者に指名し崩御。
フェリペ2世(スペイン王)
スペイン王カール5世の息子。本当は年下の若くて可愛い子が好みだが、国のために11歳年上のメアリー1世と再婚する。スペインのために戦争に参加してほしいなどのお願いをするときだけやってくる別居夫。都合の良いメアリー死後には妹エリザベスにも求婚するが、相手にされない所か、生涯の天敵となる。
【6】エリザベス1世
ヘンリー8世とアン・ブーリンの娘。父王に期待された男児ではなかったが、英国史最強の女王となる。(ヘンリー8世は見る目がない)2歳で母処刑に伴い姉同様に庶子とされる。殺されないように大人しく立ち回って生きてきた。姉に何度も殺されそうになる。姉が子供を残さないまま崩御したため、即位する。血生臭い家庭環境で育ったためか障害独身を貫く。他国からの求婚ものらりくらりとかわしつつ、それを利用する。ヴァージンクイーンと言われるが、愛人は沢山おり、ロバート・ダドリーが有名。
メアリー・スチュアート(スコットランド女王)
スコットランド王・ジェームズ5世とヘンリー8世の姉マーガレット・テューダーの孫。スコットランド女王であったが、エリザベス1世が庶子になったことがあることから、血統の良い自身こそがイングランド女王を兼ねるべきだと都度絡んでくる。男運がなく、最初の結婚では夫であるフランス王・フランソワ2世が早く亡くなり、二度目の結婚は従兄弟のダーンリー卿ヘンリーと再婚したが、顔だけ男であったヘンリーに冷めて不仲になり、三度目の結婚はそのヘンリーを殺したとされる重臣・ボスウェル伯との再婚だったので、国民から大ブーイングを買い、親戚のエリザベス1世を頼りイングランドに亡命。亡命後も自分がイングランド女王だとしつこく絡んでくるので、処刑された。
ジェームズ6世=ジェームズ1世
母が処刑されたので、スコットランド王になったが、母の敵・エリザベス1世が子供を残さず崩御したので、遠縁のジェームズがイングランド王も兼ねることになった。
■年表
1485年 【1】ヘンリー7世即位
1509年 【2】ヘンリー8世即位、キャサリン・オブ・アラゴンの結婚
1516年 メアリー王女誕生
1529年 キャサリン・オブ・アラゴン追放(婚姻無効を主張)
1533年 ヘンリー8世、アン・ブーリンと再婚、エリザベス王女誕生
1536年 キャサリン・オブ・アラゴン病死、アン・ブーリン処刑、ジェーン・シーモアと再婚
1540年 アン・オブ・クレーヴスと再婚→半年で婚姻無効、キャサリン・ハワードと再婚
1542年 キャサリン・ハワード不倫で処刑
1543年 キャサリン・パーと再婚
1547年 【3】エドワード6世即位
1552年 エドワード・シーモアが反逆罪で処刑、ジョン・ダドリーが実験を握る
1553年 ジョン・ダドリーの子ギルフォードと【4】ジェーン・グレイの政略結婚、即位宣言
1554年 【5】メアリー1世即位宣言→ジェーン及びダドリー勢力処刑、フェリペと婚姻
1556年 フェリペがスペイン王になるため帰国。ロンドンに一時帰国するが、その後戻らない
1558年 【6】エリザベス1世即位
1586年 メアリー・スチュアートの処刑
1588年 アルマダの海戦でスペイン無敵艦隊を破る(VSフェリペ)
1603年 【7】ジェームズ6世即位(テューダー朝→スチュアート朝)
■参考資料(ドラマ・映画)
■ブーリン家の姉妹(2008年映画)
エリザベス1世の母アン・ブーリン(ナタリー・ポートマン)とその妹メアリー・ブーリン(スカーレット・ヨハンソン)の貴族姉妹が宮廷でドロドロ愛想劇を繰り広げる。
■チューダーズ(2007年−2010年のイギリスのドラマ)
ヘンリー8世を主役にしたドロドロドラマ
■エリザベス(1998年映画)
エリザベス1世(ケイト・ブランシェット) の前半生を描いた映画。
■ふたりの女王メアリーとエリザベス(2018年映画)
スコットランド女王・メアリー・スチュアート(シアーシャ・ローナン)とイングランド女王・エリザベス1世(マーゴット・ロビー)、二人の女王とその側近達の政治的対立と人間愛を描いた映画
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